Triptych

Triptych

ceroのメンバーの一人として、
この10年以上音楽シーンの先端を走り続けてきた
髙城晶平によるソロ・プロジェクト
<Shohei Takagi Parallela Botanica>。

その始動の一報が発せられたときから、
私はいずれ届けられるであろう録音作品に並々ならぬ期待を寄せ続けてきた。
初のライブとなった昨年1月の渋谷クアトロ公演にも駆けつけ、
『ミュージック・マガジン』誌に当時の興奮を書き綴ったりもしたし、
爾来、もはや私にとってライフワークといえるceroの動向を注視するという作業と同等か、
いや、もしかするとそれ以上に、
髙城の創作の向かう先に深い興味を抱き続けてきたのだった。
……果たして、いよいよここに届けられたアルバム『Triptych』を聴き、
その深い興味は大きな感動に代わることとなった。

Shohei Takagi Parallela Botanica

2020年4月8日発売
初回限定盤[CD+DVD] 3,500円(税別) AICL-3880~1
※レイヤージャケット仕様
通常盤[CD] 2,500円(税別) AICL-3882
  • 1. トワイライト・シーン
  • 2. リデンプション・ソング
  • 3. トリプティック#1
  • 4. キリエ
  • 5. オー・ウェル
  • 6. トリプティック#2
  • 7. ミッドナイト・ランデヴー
  • 8. モーニング・プレイヤー
  • 9. トリプティック#3
  • 初回限定盤付属 DVD「Triptych interview and gig」
ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE
「ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE」2020.4.22 発売
¥1000+税 (KAKU-114 / 7inch Vinyl) Label: KAKUBARHYTHM
SIDE A ミッドナイト・ランデヴー(7inch ver.)
SIDE B PLEOCENE
トレーラー

ミュージックビデオ

Coming Soon.

“Triptych” Release Party

4月17日(金) 大阪 梅田Shangri-La

OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET ¥4,200 D代別
Guest Act 角銅真実
お問合せ SMASH WEST:06-6535-5569

4月25日(土) 東京 渋谷WWWX

OPEN 17:15 / START 18:00
TICKET ¥4,200 D代別
Guest Act 角銅真実
お問合せ SMASH:03-3444-6751

チケット一般発売日 3/7(土) 10:00
■大阪公演
チケットぴあ(P:179-534)・ローソン(L:52127) ・e+(pre:03/01 12:00~03/04 18:00)
■東京公演
チケットぴあ(P:179-416)・ローソン(L:75816) ・e+(pre: 2/28 12:00 - 3/3 23:59 )
※小学生以下チケット無料(要保護者同伴/保護者1名につきこども1名まで)
企画: カクバリズム
協力: Sony Music Labels Inc.
制作: SMASH
総合問い合わせ: SMASH 03-3444-6751(https://smash-jpn.com/

インタビュー UPDATE : 2020.04.08

メディア情報

ラジオ
4月6日(月)11:00~ TOKYO FM「ディアフレンズ」
4月9日(木)11:00~ J-WAVE「GOOD NEIGHBORS 」※生電話出演
4月11日(土)8:00~ J-WAVE「RADIO DONUTS」※コーナーゲスト出演
雑誌
3月23日発売「ランドネ」5月号
4月1日発売「BRUTUS」
4月9日発売「POPEYE」
4月15日発売「MUSICA」
4月25日発売「サウンド&レコーディング・マガジン」
Web
WHAT’s IN? tokyo ※インタビュー記事
朝日新聞デジタル &M ※インタビュー&選曲
CINRA ※角銅真実さんとの対談記事
FUDGE.jp ※インタビュー&選曲
リアルサウンド ※原雅明さんによる「Triptych」レビュー
BRUTUS(web) ※高田漣さんとの対談
音楽ナタリー ※特集記事

ceroのメンバーの一人として、この10年以上音楽シーンの先端を走り続けてきた髙城晶平によるソロ・プロジェクト<Shohei Takagi Parallela Botanica>。

その始動の一報が発せられたときから、私はいずれ届けられるであろう録音作品に並々ならぬ期待を寄せ続けてきた。
初のライブとなった昨年1月の渋谷クアトロ公演にも駆けつけ、『ミュージック・マガジン』誌に当時の興奮を書き綴ったりもしたし、爾来、もはや私にとってライフワークといえるceroの動向を注視するという作業と同等か、いや、もしかするとそれ以上に、髙城の創作の向かう先に深い興味を抱き続けてきたのだった。
……果たして、いよいよここに届けられたアルバム『Triptych』を聴き、その深い興味は大きな感動に代わることとなった。

ceroのサポート・メンバーとしてもお馴染みの光永渉(ドラムス)や角銅真実(ヴィブラフォン/コーラス)をはじめとして、伴瀬朝彦(キーボード)、ハラナツコ(サックス)といったかねてからの髙城の音楽仲間や、松井泉(パーカッション)、秋田ゴールドマン(ウッド・ベース)、中山うり(トランペット/コーラス)、武嶋聡(クラリネット他)、田島華乃(ヴァイオリン)、高田漣(ペダル・スチール・ギター)といった練達のミュージシャンを迎えた本プロジェクトの音楽だが、最も顕著に観察されるのは、近年のceroにおけるポリフォニックなダンス(ポップ)音楽の可能性の追求を一旦脇に寄せて、自身が以前より親しんできたよりオーセンティックでルーツ志向的な音楽を、(一見すると)リラックスして発展させた(ように感じられる)傾向だろう。もちろんその寛ぎには2020年的同時代性が濃密に注ぎ込まれており、ただ体を弛緩させて柔らな音楽のソファに沈潜することを許してはくれない。髙城の音楽的基底層を形作ってきた固有名詞(フォークやロック、ソウルの名盤達であったり、ブラジル音楽やラテンの傑作など)を彷彿とさせるようだが、しかしながら一方で、そうした単純な「温故知新」的心性にとどまらない魅力が充満している。

その要因を、アレンジ等々における(固定的な音楽ジャンル用語で言うところの)「オルタナ風」味付けのおかげ、と言ってしまえるならばごく簡単だろうが、ここに収録された音楽は、より根源的なレベルでの「これではないなにか=オルタナティブ」な性質を孕んでいるように思われる。上述の渋谷クアトロでのライブの終演後、髙城が筆者に語ってくれた、近年の興味の矛先としてのジョー・ヘンリーダニエル・ラノワラテン・プレイ・ボーイズ(やそのメンバーのチャド・ブレイク、ミッチェル・フルーム)マーク・リーボウと偽キューバ人たちといった、かつての(伝統的な、と言い直してもいい)「オルタナティブ」や「ローファイ」に通じる美学を、アンサンブルや音像の面において存分に湛えつつも、より骨格的な次元から、2020年における「ジャパニーズ・オルタナティブ(ローファイ)」の探求がなされているという印象だ。

それはおそらく、髙城がこの間ceroやDJとしての活動を通じて培ってきた先鋭的なジャズやR&Bへの興味、あるいはまた、近年あらためてその魅力に気付かされることになったというかつての歌謡曲やニュー・ミュージックへの関心(髙城はサザンオールスターズの大ファンであることをかねてから明言している)が作曲それ自体へ深く浸透していることからくるものかもしれないし、各メンバーの演奏において、同時代的プレイヤー達ならではの個性が表層上のコンセプトを破り出る形で現出しているから、と理解することも可能だろう。だがしかし、それらを上回って重要と思われるのが、共同プロデュース〜アレンジ〜ミックス/プログラミング/ギターで参加したSauce81の果たした役割だろう。

国内外でのリリースを含め幅広く活躍している彼と髙城の出会いは、ceroのシングル「街の報せ」B面の「ロープウェー」でのコラボレーション(2017年)に遡る。2015年の『Obscure Ride』で達成したコンテンポラリーなグルーヴとポップスの融合から更なる一歩を踏み出すにあたって非常に重要な存在になったと位置づけることができるであろう本曲での共同作業は、作曲者たる髙城へ大きな感銘を与えたという。今回のSauce81の参加も、その際の共同作業が強く印象に残っていた髙城からのオファーによって実現することとなったようだ。

デモ制作の段階から2人の間の活発なやり取りを行っていったというが、それを物語るように、髙城の提示する楽曲に対して、具体音やEQなどが加えられながら楽曲そのものの性格が変質させられているような効果を聞き取ることができる。例えば仮に、各曲で聴かれるような音響配置や大胆なイコライジング(キング・クルールサラミ・ローズ・ジョー・ルイスの諸作に通じるようにも聴こえる)を取り剥がされた状態を想像してみると、謂うところの表層的な「オルタナ」にとどまっていたかもしれないと思えてくるのだった。

あくまで、楽曲の骨格構造を受け止めつつも、更に発展的な音響デザインを施すことで、その楽曲自体の根本性格を転覆的に形作っていく。おもえばこれこそが、デジタル・オーディオ・ワークステーション普及以降のコンテンポラリー音楽制作におけるサウンド・プロデュースやアレンジというものの本懐にして正道なのかもしれないとも感じる。おそらくは髙城もそのあたりのことを重々に承知した上で、共同プロデューサーという「最も身近な第三者」として、Sauce81を迎えることにしたのだろう。その試みは、あまりある成果として作品全体を彩っている。

また本作は、アルバム全体に措定されるテーマや、それが導く言語的地平においても、「ジャパニーズ・オルタナティブ」的なるものの深遠部に潜り込んでみようとする気概に満ちている。多くの曲において言及/惹起される、心象風景としての日没模様。これまで髙城作のceroの各曲でも度々モチーフとなってきたその風景に、より一層我が身を浸し尽くそうとするかのような退廃と蠱惑が漂う。自らの奏でる音楽に身を横たえ、煙を蒸しているような寛ぎを感じさせつつも、異様なほどに鋭敏な感度を備えたカメラのように、興りゆく情景を言葉として精緻に捉えていく。主情的な叙述者は排され、審美的な観相と描写が髙城という肉体(ヴォーカル)を通して紡ぎ出されていく……。

こうした詩世界は、髙城が熱心な海外文学の読者であるという事実と照らし合わせるなら、得心がいくことかもしれない。身近な(日本的)スケープを、ある種の外部的視点でもって眺め、詞作に昇華する。その作法は、エズラ・パウンドから続くイマジズム(写象主義)詩人、とくにウィリアム・カーロス・ウィリアムズなどを思わせるところもあるように思うし、また、ときにドライでヒリついた荒涼をも描き出すような感覚は、本作のタイトル『Triptych』の由来にもなった短編を書いた小説家マディソン・スマート・ベルの筆致に通じるように感じられる。ある種の暗さ、ほのかな罪の匂い、街(主に東京とその周辺を想起させる)のなかに漏れはじめる薄闇が語りかける逢魔が時の物語。

それらをもって髙城は、「ジャパニーズ・オルタナティブ」の一局面に肉薄しようとしているのかもしれないし、この感覚というのは、もっと直截的に言ってしまえば、「ジャパニーズ・ゴシック」とでもいうべきものかもしれない……(そういえば、髙城はかつて、時に「ヒルビリー・ゴシック」あるいは「アメリカン・ゴシック」とも形容される、カントリー音楽の巨人ジョニー・キャッシュが遺した晩年の諸作がお気に入りだと私に語ってくれたように記憶している)。

また、<Triptych>というのは「三連祭壇画」を指す言葉であり、「三連祭壇画」とは、初期キリスト教美術において萌芽し、中世に至って教会等の祭壇画の主流形態となった宗教画形式だ。このことを材料に、本作に漂う遣る瀬のない祈りのような感覚との符号を見出すことは容易いかもしれない。しかしながらその内容には、(当然だが)なにがしかの教義的・訓戒的な匂いは皆無であり、むしろ実存的な物語をクールに語ろうとする、髙城晶平という一人の作家のノワールな審美眼そのものが、繰り返し丁寧に味わい尽くすべき観賞対象として、前景にせり出てくるふうなのだ。そういった意味で、3曲3部構成の本作は、存在感に満ちた蝶番部たるインタールードも含め、伝統的宗教画としての三連祭壇画としてではなく、むしろ、三連祭壇画中の異端作であるヒエロニムス・ボスによる幻夢的傑作『快楽の園』を鑑賞するときのように多面的な角度から味わうべきなのかもしれない。

すでに与えられた文字数を大きく超過し、筆は際限なく滑り続けていく。日本の、ルーツ志向の、2020年ならではの、オルタナティブな、ゴシックな、類を見ないポップス……。まだまだ紡ぐべき言葉は尽きそうにない。この作品を語り切ってしまうには、我々の聴取感覚が作品そのものに追いついていない可能性も大きいように思う。そういう「時間がかかる」作品に出会うことの歓びが忘れ去られそうになっている今だからこそ、ここに描かれた3✕3の物語(風景)を私はこれからもゆっくり読み解き、折に触れて眺めていくだろう。

柴崎祐二(音楽ディレクター/ライター)

Shohei Takagi『Parallela Botanica』

Shohei Takagi Parallela Botanica
1st Album「Triptych」

初回限定盤[CD+DVD] 3,500円(税別) AICL-3880~1 ※レイヤージャケット仕様
KAKUBARHYTHM / Sony Music Labels Inc.
全9曲収録
  • 1. トワイライト・シーン
  • 2. リデンプション・ソング
  • 3. トリプティック#1
  • 4. キリエ
  • 5. オー・ウェル
  • 6. トリプティック#2
  • 7. ミッドナイト・ランデヴー
  • 8. モーニング・プレイヤー
  • 9. トリプティック#3
初回限定盤付属 DVD「Triptych interview and gig」
Shohei Takagi『Parallela Botanica』

Shohei Takagi Parallela Botanica
1st Album「Triptych」

通常盤[CD] 2,500円(税別) AICL-3882
KAKUBARHYTHM / Sony Music Labels Inc.
全9曲収録
  • 1. トワイライト・シーン
  • 2. リデンプション・ソング
  • 3. トリプティック#1
  • 4. キリエ
  • 5. オー・ウェル
  • 6. トリプティック#2
  • 7. ミッドナイト・ランデヴー
  • 8. モーニング・プレイヤー
  • 9. トリプティック#3

店頭特典

Amazon.co.jp:デカジャケット
TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):オリジナル・ステッカーシート
その他対象店舗:オリジナルポスター
Shohei Takagi『ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE』

「ミッドナイト・ランデヴー / PLEOCENE」
7inch Vinyl

2020.4.22 発売 1,000円(税別) KAKU-114
Label: KAKUBARHYTHM
  • SIDE A ミッドナイト・ランデヴー(7inch ver.)
  • SIDE B PLEOCENE